春のハイクで俳句

ひとえに春といってもその風情は、山にあって様々。
4月の丹沢や奥多摩は、雪もなく風もなく一般的な
“春”を堪能できる。しかし、南北アルプスや八ヶ岳
などの北で高いところにある山々は未だに春と遠い
冬の季節。この地が真に春になるには、7月まで
またなければならない。

雪渓を 登り登りて 蒼美得る
 

6月の針ノ木雪渓をひたすら上る。雪渓の斜面はなかなかの勾配。振り返ると思わず冷やっとする高さ、加えて所々、エッと思うようなさらに急なところも上っていく。そんなところでは決して振り返らず、ひたすら上り続けるしかない。雪渓登りは、ひたすら目の前の雪をキックステップする作業の繰り返しなのだ。
急な雪の斜面を登っていく、ただ登っていく。峠に登りついかと思えば、さらにその先がある。あと少し、もう少し、本当に距離感がない。これが疲れる。だが、雪渓の最後の登りだけはホントに最後だとすぐわかった。到着しました針ノ木峠。

 

黒部湖
黒部湖のエメラルドグリーンの湖面が印象的
薬師岳
水晶岳なども
爺ヶ岳
爺にはどうしても見えない
スバリ岳
けわしい山様
烏帽子岳
槍ヶ岳も見える
鹿島槍ヶ岳
違う角度から見た爺ヶ岳も

桃源の泉で やせ鹿 より来る

5月の日光白根山は、残雪と木々の緑が絶妙に混ざった心地よい春山だ。雪渓には雪が多く、日なたには雪がほとんどない。雪渓の踏み抜きを気をつけつつ、前白根から五色沼に降りるとそこは別天地。透き通った池と雪山がコントラスを描く絵画的世界。もう少し速ければ、湖畔にまだ雪が残ってさらに美しい風景が見れたかも。そんな思いをよそに目の前に鹿がこちらにやってくる。雪山と湖と鹿。非常に絵になる。しかし、この鹿、近づいても全然逃げない。むしろ近づいてくる。人なつっこい鹿は、丹沢や奥多摩でなれているが、何故ここでかと、ふと違和感を感じる。美しい山に美しい湖、そして野生の鹿、これは最高の組み合わせなのだが、この絶景を前になぜか興ざめしたのだった。

五色沼の鹿
五色沼の鹿
五色沼の鹿
五色沼の鹿
五色沼の鹿
五色沼の鹿
五色沼の鹿
五色沼の鹿

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